「明日の記憶」(荻原浩)

広告代理店で部長をつとめる佐伯は、最近50歳を目前に物忘れの度合いが激しくなったのが気になり、仕事での疲れ過ぎからくるうつ病を疑って、妻に言われてイヤイヤながらも精神科を受診する。しかし、そこで下された診断は「若年性アルツハイマー」という、…

りんご's BEST 5 of 2008

2008年に読んだ本(2008年発行ではありません)のベスト5、順不同です。 「赤朽葉家の伝説」(桜庭一樹) http://d.hatena.ne.jp/ringo-lib/20080115 「名前探しの放課後」(辻村深月) http://d.hatena.ne.jp/ringo-lib/20080426 「ジーン・ワルツ…

「マチルダは小さな大天才」(ロアルド・ダール)

4歳のマチルダは、ディケンズの小説も読みこなせる大天才。字が読めるようになったのは、3歳になる前。しかし、子どもなんて邪魔者と思っている両親は、マチルダの才能にまったく気づいていないどころか、彼女のいうことをまともに聞こうともしない。マチ…

「リセット」(垣谷美雨)

デパートで開催されていた、故郷の町の物産展で偶然再会した知子・薫・晴美。同じ高校でもそれほど仲が良かったわけではないが、30年ぶりの懐かしさでそのまま再会を祝して飲みに行った。3人ともに現在の生活に不満を抱き、人生やり直せたら…という話をし…

「初恋素描帖」(豊島ミホ)

ある中学校の2年生の1クラスを舞台に、それぞれの生徒たちを主人公にした(全員ではありませんが)短編集です。雑誌「ダ・ヴィンチ」で一部連載していたのを楽しみに読んでました!書き下ろし分を加えての単行本化です♪ やっぱり豊島さんの学校モノ好きで…

「ザ・ギバー 記憶を伝える者」(ロイス・ローリー)

11歳の少年・ジョーナスをはじめ同級生たちは、「12歳の儀式」を前に落ち着かない日々を過ごしていた。この儀式によって、すべての11歳の子どもたちは将来の仕事をそれぞれの適性によって決められるのだ。 そして儀式の当日、皆が次々に職業を任命され…

「叱り叱られ」(山口隆)

サンボマスターボーカルの山口さんが、偉大なる先輩ミュージシャンたちにナマイキな口をききまくってる(?)対談集です。私はサンボマスターって、ドラマ版「電車男」の「世界はそれを愛と呼ぶんだぜー!」って叫んでたやつしか知らないのですけど…。とにか…

「東京島」(桐野夏生)

クルーザーで遭難した隆・清子夫妻が漂着した南の無人島。その後、与那国島でのバイトから脱走して漂着したフリーター集団、中国船から置き去りにされた密航集団が加わり、全32名の「島民」たちはこのトウキョウ島で救援のないまま、数名を失いつつ6年を…

「辞めない理由」(碧野圭)

37歳の和美は、小1の娘・絵里を育てながら、夫・治彦と同じ大手出版社に勤務している。老舗女性ファッション誌の副編集長としてバリバリ勤務していたのだが、課や編集部内でのチームワークがあまりうまくいっていないことに気づいていず、自分不在の飲み…

「未来(あした)のおもいで」(梶尾真治)

イラストレーターの滝水浩一は、たまに趣味で登る熊本・白鳥山で大雨に遭遇し、洞穴で休憩していたところ、同じく雨に降られた若い女性・沙穂流に出会う。ほんのつかの間の出会いだが互いに好感をもった2人。雨が上がって別れたあと、滝水は沙穂流が落とし…

「ハローサマー、グッドバイ」(マイクル・コーニイ)

舞台は地球に似たある星。夏の休暇を過ごしに、両親と一緒に別荘のある港町パラークシに今年もやってきた少年・ドローヴ。宿屋の娘・ブラウンアイズと再会し恋に落ちるが、政府の高官である父も、母もともに良い顔をしない。そんな中、海の濃度が高くなる現…

「食堂かたつむり」(小川糸)

りんごこと倫子は、同棲していたインド人の恋人に貯金を持ち逃げされ、精神的ショックから声も出なくなってしまい、十年も帰っていない田舎の実家に帰るほかなくなってしまった。女手一つで育ててくれたとは言え折り合いの悪かった母から一応資金を借りると…

「平台がおまちかね」(大崎梢)

書店を舞台にしたミステリ「成風堂書店シリーズ」で人気の大崎さん、今回は出版社の新米営業・ひつじくんこと井辻が主人公の新シリーズです。「成風堂書店シリーズ」同様、ミステリとしてはかなりライトタッチですが、そのくらいの加減がまた和むというか心…

「ジーン・ワルツ」(海堂尊)

若くして帝華大学の助教であり、不妊治療を専門とした産婦人科医でもある曽根崎理恵は、その冷静さ・信念の強さ・周到さゆえ「クール・ウィッチ」と異名をとっていた。彼女が本業(大学)以外に非常勤で勤務していた個人産婦人科病院「マリア・クリニック」…

「タイム屋文庫」(朝倉かすみ)

小樽に住んでいた101歳の祖母が亡くなり、空いた家に札幌の会社を辞めて1人で引っ越してきた柊子。小樽は柊子にとっても思い出の街で、高校生の頃好きだった吉成くんと初デートした街なのだった。吉成くんに会いたいなあと思った柊子は、タイムトラベル小説…

「陽だまりの彼女」(越谷オサム)

25歳の浩介は、仕事の取引先担当者として中学の同級生・真緒に10年ぶりに再会した。中学の時はまったく勉強ができず、浩介(別に頭がよかったわけではない)が勉強を教えてやっていたほどの真緒が仕事のできるモテ系女子となって現れ、最初は驚いた浩介だが…

「予定日はジミー・ペイジ」(角田光代)

初めての妊娠が発覚したけれど、なんだかぼんやりとするだけで、実感のわかない主婦・マキ。もちろん夫など周りの人々は大喜びで盛り上がるのだが、自分だけがなんだかそれに乗り切れないような日々だった。 そんな風にマタニティライフを過ごしていた彼女だ…

「阪急電車」(有川浩)

兵庫のローカル電車(…ですよね?)、阪急今津線を舞台に、一駅ずつ様々な人たちの「物語」が交錯する、連作短編集です。やっぱり有川さん、上手いですねえ!とりあえず「往路」として始発から終点までで一通りの物語が語られたあと、こんどは数ヶ月後を「復…

「ゴールデン・スランバー」(伊坂幸太郎)

仙台の街を新首相が訪問した際のパレードで、爆弾テロが起こり、首相は暗殺された。その容疑者として、青柳雅春という一人の青年が指名手配された。 一方、青柳雅春。突然覚えのない容疑を被せられ、行ったこともない場所に自分が映っている映像や、まるで覚…

「ブックストア・ウォーズ」(碧野圭)

ペガサス書房に正社員として勤務する亜紀(27歳)と副店長の理子(40歳)は、もともと反りが合わなかったのだが、亜紀の結婚式で起きた事件を機に一触即発状態になった。そんな中、店長が異動し、理子が店長へと昇格することになる。しかし、それはその店舗…

「鼓笛隊の襲来」(三崎亜記)

三崎さんお得意の、シュールな作品が9編収録された短編集です。三崎さんの作品は、よりシュールである方が私の好みみたいです(笑)。タイトル作品なんて、「は?なんで鼓笛隊??」という感じでしたが、台風のように上陸襲来する鼓笛隊に本気で怯える国民の…

「楽園」(宮部みゆき)

「模倣犯」事件のあと、事件そのものと犯人の毒にすっかりやられてしまい、筆を折っていたライターの前畑滋子。それでも知人のプロダクションに所属して少しずつ仕事を再開した彼女のもとに、奇妙な相談事が持ち込まれる。依頼人は、中学生になったばかりの…

「スロウハイツの神様」(辻村深月)

若手脚本家の赤羽環が所有するアパート、「スロウハイツ」には、各部屋に環の友人たちが入居している。彼らはみなクリエーター(もしくはその卵)で、大人気作家のチヨダ・コーキをはじめ、皆互いに刺激しあいながら、楽しい共同生活を送っていた。 しかし、…

「ダイイング・アイ」(東野圭吾)

バーテンの慎介は、ある日やってきた陰気な客に、店が引けた後突然頭を強打される。病院で目覚めた彼が知ったのは、犯人の自殺とその正体だった。犯人は、彼が以前に交通事故で死なせてしまった女性の夫なのだという。しかし、慎介はその事実はなんとなく覚…

「花の下にて春死なむ」(北森鴻)

東京・三軒茶屋駅近くにある、ビアバー「香菜里屋」を舞台に、マスターの工藤が安楽椅子探偵的役割?を果たす、ミステリー短編集です。いろんなところで「食べものがおいしそう」と書かれていたので、ずっと気になってました(笑)。が、ずっと機会を逃して…

「サマー/タイム/トラベラー」(新城カズマ)

あまり未来の感じられない地方の町、辺里。ここに住むぼくら高校生5人は、「時空間跳躍少女開発プロジェクト」を開始する。仲間の一人であり、「ぼく」の幼なじみでもある悠有が、偶然一瞬だけ「時を超える」能力を発揮したのだ。ぼくらは、悠有がその能力…

「本からはじまる物語」(アンソロジー)

その名のとおり、いろいろな作家さんの本にまつわる短編を18本集めた短編集です。参加してる作家さんの豪華なこと!読んで特にお気に入りだった作品は、恩田陸さん、今江祥智さん、篠田節子さん、内海隆一郎さん、三崎亜記さんかな。トーハン(本の取次会社…

「名前探しの放課後」(辻村深月)

高校生の依田いつかは、気がついたら1月から前年の10月に約3ヶ月タイムスリップしていた。元の世界では、12月の終業式の日に同級生が自殺していた。知っている以上、いつかはそれを止めたいと思うのだが、それが誰だったのか思い出せない。いつかはタイム…

「刑事ぶたぶた」(矢崎存美)

交番勤務から異動し、刑事として春日署に勤務することになった立川。その彼と組むことになった上司である主任の名前は、「山崎ぶたぶた」。…ぶたぶた?そう、彼はぶたのぬいぐるみだが、しゃべるし動けるし、優秀な刑事なのだった。ぶたぶたさんは、彼にしか…

「ジャック・デロシュの日記」(ジャン・モラ)

16歳のエマは、ダイエットから始まった摂食障害でどんどん痩せこけていくが、彼女自身は「自分をコントロールできている」錯覚に陥っていた。 ある日エマは、大好きな祖母が寝言で「エヴァ・ヒルシュバウム」という聞いたことのない名前と、さらに「ジャック…