「使命と魂のリミット」(東野圭吾)

研修医の夕紀は、中学のときに父を手術の失敗で亡くしたことがきっかけで医師を目指した。しかし実は、父の担当医だった西園と母が親密な関係にあったらしいため、ずっと彼らを疑い続けてきたのが理由だった。現在夕紀は西園の元で研修をしているが、ついに西園と母が再婚するという話を聞かされ、動揺する。
そんなある日、病院に「隠蔽した医療ミスを公開しないと、病院を壊す」という内容の脅迫状が届く。捜査に派遣されてきた刑事・七尾は夕紀の父の元部下で、夕紀は彼から思いがけない過去の話を聞かされるのだが…。
さすがの東野さんの作品でしたねー。今までの作品と比べてどうか?というと突出するわけではないかもしれませんが、やっぱり良かったと思います。犯人はあらかじめ提示されているので、謎解きではなくて、捜査と犯行、どちらが先行するかのせめぎあいのところにスリルがありましたね。そして、この作品のキーワードはタイトルにもある「使命」と、「良心」。おかげで、最後は泣けてしまいました。

使命と魂のリミット

使命と魂のリミット